諦めたくない

文才能力がないため支離滅裂すると思いますが、よろしくお願いします

焦り…

蟹谷さんが押してくれる車椅子の


速さと私の呼吸が合わない。


いつも笑顔の蟹谷さん。


その日、蟹谷さんは夜勤明けなのに


眠い表情すら見せず病室に来て


母の血圧と私の血圧を測って


そのままナースステーションへと


戻る。その繰り返しだった。


病室まで蟹谷さんと私は無言。


たくさんあったはずの点滴は


いつの間にか減っていた。


死の階段を着実に登ってるんだと


察知した。


やっと、蟹谷さんが話してくれたのは


私がベッド横に着いてからだった。


鼻に入っていた酸素チューブも


外され口の酸素マスクになってた。


わたしが泣きながら蟹谷さんに


蟹谷さん、お母さんに何が起きたの?


昨日、こんな状態じゃなかったよね?


お母さん死んじゃうの?


それとも、もう死んでるの?


こんな呼吸して酸素追いつかないよ?


ここぞとばかり蟹谷さんに質問攻め。


蟹谷さんが、ごめんねちょっと


離れるね。絶対戻って来るからね!


だから、お母さんと待っててね!


蟹谷さんが行っちゃった。


瞳孔が開いている母…


呼吸の乱れている母…


必死に声掛けをしていた。


お母さん聞こえる?


お母さんゆう見える?


もう、夢中に声掛けした。


当然のごとく母は無反応…。


その状態で30分くらいは続いた。


廊下から蟹谷さんの声が…する?


だけど違うような…だけど怒ってる?


ん〜…怒られているような…?


と思いながらいると病室をノック


せず入室して来たのが蟹谷さん!


ついさっきまで白衣に紺色の


カーディガンだったのに…。


私服でなおかつ髪も半乾き。


蟹谷さんが、ごめんね明けだから


あくび連発で出ちゃうかも笑


家族が来るまで、私もここにいるね。


ちこさんは、私の上司でもあり


私の母のような存在で私の患者。


蟹谷さんがあくび堪えつつ母の


酸素マスクの位置を直してくれたり


母の背中をさすってくれたり。


実はね、ここの病棟師長に怒られた。


さっきの話だから、ゆうちゃんにも


もちろんちこさんにも聞こえたよね?


頑張ってるゆうちゃん私大好き!


多少の車の運転するかもだけど


脳梗塞患って後遺症のせいで


生活の半分以上は車椅子の生活…


そして、あ−ちゃんやそ−ちゃんの


子育て!本当に素晴らしいよ!


私には真似出来ない。


ちこさんは、ずーっとゆうちゃんを


心配していたよ。あの若さで脳梗塞


やって性格よじ曲がらないかしら?


私が退職して、ゆうちゃんの手や足に


なりたいと思っていてもゆうちゃんは


退職してから来る約束でしょ?って


私の気持ちなんて聞いてくれない笑


一緒に仕事しながら過ごしたちこさん


蟹谷さん見てると娘を見てるみたい


そう言われて悪い気にはならなかった


むしろ、師長は私の母に感じて


恋の相談やご飯の作り方そして


模様替えやショッピング…。


いっぱい力になってくれた人だし


一緒に今いる意味あると思うのは



私だけかな?と話された。


わたしが、涙を流しながら


うぅんそんなことない。


お母さんだって喜んでるよ!


そしてそばに居てくれてありがと。


お母さん、今登ってる階段から


降りてきて。その階段の向こうは


寒いよ?寒いし誰もいないよ?


母のベッドに更に寄り添った。


母の手を触って母の温もりを


忘れたくなかったからずっと


手を触ってた。途中、何度も


車椅子から落ちかかる私。


もう少し元気だった頃にふくらはぎの


怠さを訴えていた母。


電気毛布に身を包むようにいるのに


冷えていく手足…


もう、母は死の最上階が近い報せが


来ているに違いない…


自分の涙と鼻水の嵐で声が出ない。


その時に…